柚子で新規就農を目指す

実家が農家なわけでも、農業関係の仕事に従事していたわけでもない素人がゼロから農業の知識を習得し、柚子で新規就農を目指すブログです。

新規就農者が就農に必要なものトップ3

畑の画像

 

 

 本日は新規就農が就農する段階で1番大切なものは何かについて話しておきたいと思います。まだ私は研修1年目なので、全てを完全に把握しているわけではありません。しかし、それでも農業の研修をしている中で就農時に必要なものが分かってきました。就農に必要なものは

 

①農地

②生活費

③労働力

 

の3つです。順番に詳しく説明していきます。

 

 

 

①農地

 

 

 農業を志しても他の職業のようにすぐに独立して働くことが出来るわけではありません。研修を行い、栽培技術を学び、収穫・運搬をこなして、少しずつ地域に認められるようになります。

 

 研修が終わり、独立する段階で必要になるのは農地です。法律で各市町村の農業委員会で認められている農地以外で農業をすることは禁止されています。つまりいかに自分の土地が広大で、そこで農作物が収穫出来たとしてもそれを販売して現金を手に入れることは出来ません。

 

 親が農家であればそのまま農地を譲り受けることが出来ます。またその子供も地域の方々に顔が知れ渡っているので、すぐに受け入れられますが、私のような外部の人はそうはいきません。農地が無いため、就農時に農地を借りることになります。制度上はいきなり農地を売買することも可能ですが、99%は不可能でしょう。農家は閉鎖的な集団なので外部からの人間には厳しいです。いくら人格が優れていても不可能だと考えておきましょう。

 

 

 

 ここで具体例を紹介しましょう。先日、本州から北海道に来た農業研修生が農地を借りるための面談がありました。農協の職員、農業委員会、普及センターの方々が集まり面談を行いました。どのような研修を行ってきたのか、どのような作物を作る予定なのか、自己資金はどれぐらいあるのか、農薬の知識、土作りの知識などかなり突っ込んだ話をしていたようです。

 

 本人の面談が済んだ後は、農協の職員、農業委員会、普及センターによる親方の面談が始まりました。そこに私の先輩である農業研修生はいらっしゃいませんでしたが、親方もかなり鋭く質問されたようです。詳しくは教えていただけませんでしたが、トラクターにあまり乗せていないのにそんな研修でいいと思っているのかという内容だそうです。

 

 

水田の画像

 

 確かにその通りだなと思いますが、トラクターでの事故も多いので仕方無いかなとも思います。私自身、夏にトラクターを運転してハウスのワイヤーを切りそうになりました。師匠に報告してなんとか無事でしたが、ヒヤヒヤしたのを覚えています。

 

 全ての農作物でトラクターが必要になるわけではありませんが、やはり練習出来る時にたくさん練習しておいた方が就農する時でも、また農業法人に就職する時でも役立つでしょう。

 

 

 無事に新規就農希望の先輩とその親方の面談が終了し、無事に農地をレンタルすることが可能になりました。しかし、これは農地をレンタルするのが決まっただけです。まだ他に、認定新規就農者の面談、就農計画書の精査が残っています。こちらは2019年に入ってから行われるようです。こちらについても随時紹介していきたいと思います。

 

 

 

 

 

お金の画像

 

 

②生活費

 

 もし、お金を銀行や日本政策金融公庫から借りる必要が無いほど、自己資金(生活費+農業に使うお金)があるのであればここで終了です。無事に来年の春に向けて準備をするだけです。つまり就農のハードルになるのは農地の問題だけということになります。

 

 

 しかし、お金を借りる場合はそうはいきません。新規就農時には普通は銀行では無く、日本政策金融公庫からお金を借りることになります。その理由は金利が無いこと、最初の5年間は返済しなくて良いこと、保証人が入らないこと、7年という長期で返済出来ること、また審査が通りやすい点が挙げられます。

 

 制度の名称は『青年等就農資金』です。最大で3700万円まで借り入れることが可能ですが、自分の希望する金額を貸してくれるわけではありません。また使い道は決まっており、自分の手元に入って来ることはありません。

 

 まず国が各地域の農業改良普及センターに予算を振り分けます。そして新規就農者が必要な資材の見積書を普及センターに提出します。そして、普及センターが農協に発注します。そのため、お金が新規就農者を経由することはありません。どうしても現金化したい場合は、買った資材を転売するしかありませんが、月に1度ちゃんと農作業をしているか監視に来るそうです。そのため、資材がなければそこで営農活動が終了することになるでしょう。危ない橋は渡らないことです。

 

 また当然、農協に発注するため、手数料を取られます。農協が嫌われる一つの理由がここでしょう。農作物を出荷しても手数料を取られ、資材を発注しても手数料を取られ、農家は苦しんでいます。キュウリの場合であれば出荷、選果、送料、ダンボールなどの資材などを含めて売り上げの40%も取られます。

 

 普及センターも手数料を取っているかもしれません。アドバイス料と思うしか無いですね。

 

 

 ここまで話せばお気づきだと思いますが、就農時に必要なものは農業に使う資金では無く、生活費です。なぜなら、農業用の資金は借りればいいからです。生活資金は絶対に貸してくれません。

 

 新規就農を目指す方は独立する前に200万円程度の貯金があった方が良いでしょう。もし奥さんが働いてくれるのであれば、100万円程度の貯金でも問題無いかもしれませんが、資金に余裕を持つようにしましょう。

 

 

 

 

 

トラクターの画像

 

 

③労働力

 

 正直これはお金があれば何とかなります。また青年等就農資金でも労賃として借りることができます。しかし、労賃は思っている以上に高いです。農協にだけ出荷している農家の場合は手数料を4割取られ、さらにそこから労賃や水道光熱費、ガソリン代などの経費を引いて、自分の利益を確保しなければいけません。売り上げの半分は消えると考えておきましょう。

 

 またパートさんは主婦の方が多いので、車を持っていないことも多いです。また子育てで勤務時間が不規則になったり、短くなったりします。そういったリスクも承知の上で雇う必要があります。また作業が遅い人もいるため、そういった人はクビにする冷徹さも必要になります。

 

 奥さんや彼女や家族などがいれば、農地も借りやすく、認定新規就農者にもなりやすいですが、1人での就農は難しいと考えておきましょう。無理では無いと思いますが、かなり厳しいでしょう。そういう私も彼女が農業を一緒にやらないことになり、どうしたものかと考え中です。

 

 人を雇えば解決することですが、当然利益を圧迫してしまいます。自動で収穫するロボットが開発されれば人件費の削減につながりますが、まだ先は長そうです。

 

 研修期間中にどの作物を栽培するのが良いのかを売り上げ、利益、労働時間の観点から多角的に考える必要があります。